CRYPTRECとは

CRYPTREC Cryptography Research and Evaluation Committees

1. CRYPTRECとは

CRYPTREC とはCryptography Research and Evaluation Committees の略であり、電子政府推奨暗号の安全性を評価・監視し、暗号技術の適切な実装法・運用法を調査・検討するプロジェクトである。 デジタル庁、総務省及び経済産業省が共同で運営する暗号技術検討会(座長:松本勉横浜国立大学教授)と、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)及び独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が共同で運営する暗号技術評価委員会(委員長:高木剛東京大学教授)及び、暗号技術活用委員会(委員長:松本勉横浜国立大学教授)で構成される。

2. 経緯と役割

我が国が目指す世界最先端のIT 国家を構築するには、基盤となる電子政府のセキュリティを確保する必要があり、安全性に優れた暗号技術を利用することが不可欠である。この目的のため、客観的な評価により安全性及び実装性に優れると判断された暗号技術をリスト化する暗号技術評価プロジェクトが2000年度から3年間の予定で組織化され、CRYPTREC (Cryptography Research and Evaluation Committees) と名づけられた。

CRYPTRECは、公募された暗号技術及び業界で広く利用されている暗号技術を評価・検討し、安全性及び実装性能ともに優れたものを選択した。総務省と経済産業省は、この評価結果を踏まえ2003年2月20日に「電子政府」における調達のための推奨すべき暗号のリスト(電子政府推奨暗号リスト)を公表した。
2003年2月28日には、行政情報システム関係課長連絡会議において、各府省が情報システムの構築にあたり暗号を利用する場合には、可能な限り、電子政府推奨暗号リストに掲載された暗号の利用を推進する旨の「各府省の情報システム調達における暗号の利用方針」が了承された。

総務省及び経済産業省は、2003年度以降も電子政府の安全性及び信頼性を確保するために、CRYPTRECプロジェクトの活動を継続することを決定した。電子政府推奨暗号リストに掲載された暗号の安全性を監視・調査するための暗号技術監視委員会が新たに設置され、また、暗号を実装した暗号モジュールの日本における評価基準を確立するために暗号モジュール委員会が設置された。

暗号技術検討会は、2009年7月10日に電子政府推奨暗号リスト改定に向けたCRYPTRECの組織改正を決定した。暗号技術監視委員会と暗号モジュール委員会は各々、暗号方式委員会と暗号実装委員会に移行し、電子政府における暗号技術の適切な運用を目的とした調査・検討を行う暗号運用委員会が新設された。
その後、電子政府推奨暗号リストに掲載された暗号技術、リスト改定に向けて2009年に行われた新規暗号の公募において応募された暗号技術及び事務局が選出した暗号技術について、それらの安全性、実装性及び利用実績の評価・検討を行った。この評価結果を踏まえ、2013年3月CRYPTRECは既存のリストを「電子政府における調達のために推奨すべき暗号リスト(CRYPTREC暗号リスト)」として改定した。

暗号技術検討会は2013年4月からCRYPTRECを暗号技術評価委員会と暗号技術活用委員会の2委員会体制に改組した。暗号技術評価委員会では暗号技術の安全性評価を中心とした技術的検討を行う。また、暗号技術活用委員会では、暗号技術における国際競争力の向上及び運用面での安全性向上に関する検討を行う。

2021年のデジタル庁発足に伴い、デジタル庁がCRYPTRECプロジェクトに参画することになった。